道路の上に敷かれた軌道(併用軌道)を走る電車のこと。一般的には,軌道法で定められた軌道線をさし,鉄道事業法の定める鉄道と区別される。ただし,路面部分がほとんどなく専用軌道を走る東京の東急世田谷線(玉電)は軌道線,路面軌道も走る神奈川の江ノ島電鉄は鉄道というように,「路面電車」は法律で厳密に定められたものではない。1881年,ドイツで営業走行を始めたものが世界最初の路面電車で,日本では1895(明治28)年に京都電気鉄道(京都市電)が開通。その後,全国各都市で整備が進み,現在の私鉄の原型になった路線も少なくない。1960年代からの自動車の増加にともなって,交通渋滞の元凶のようにあつかわれ,70年代後半までに各都市で廃止があいついだが,近年,環境への負荷の少なさ,渋滞緩和,バリアフリー的な交通機関として再評価され,低床型の新車両の導入や,2006(平成18)年にはJR富山港線を再整備した富山ライトレールの新規開業などで注目を集めた。