水力・火力・原子力など電気以外のエネルギーを電気エネルギーに変換すること。水の位置エネルギーや運動エネルギーを用いる水力発電,石油・石炭などの燃料を用いる火力発電,原子核分裂を利用する原子力発電がおもなものであり,このほかに地熱発電・潮せき発電・風力発電・太陽光発電などがある。
水力発電
水の流れ落ちる落差(位置エネルギー)を利用して水車を回し,その力で発電機を回して電気を発生させるものである。水車には,水の落差が大きくても小さくても使用できるフランシス式が広く用いられている。
火力発電
石炭や石油・LNG(液化天然ガス)などの燃料をボイラー内で燃焼し,その熱エネルギーを利用して水を水蒸気にかえ,水蒸気の力でタービンを回して電力を発生させる発電形式である。
原子力発電
1gのウラン235を完全に核分裂させたとき,得られるエネルギーは石油2000Lを燃やしたときのエネルギーに相当する多大な量である。このエネルギーの発生をコントロールする装置が原子炉である。原子炉で適量のエネルギーを取りだし,水蒸気をつくり発電機を作動させる。
地熱発電
地下から熱水や水蒸気の混合物を取り出す。これを熱水と水蒸気に分離して,熱水は地下に返す。水蒸気でタービンを回し,その力で発電機を回し電力を得るまでの過程は火力発電とほぼ同じである。天然の水蒸気を使うため燃料費がかからないという利点がある。
潮せき発電
潮の満ち干によって堤防の内側と外側の水位に差ができる。この差を利用してタービンを回し発電をすることができる。◇このほか海洋エネルギーを利用した発電には,波の上下運動を利用した波力発電がある。また,海面の水と深海の水の温度差を利用した温度差発電がある。これは,表層の比較的あたたかい海水で,アンモニアなど沸点の低い液体を蒸発させ,タービンを回して発電するしくみである。この後,蒸気は海面下数百mからくみ上げた数℃の冷水でひやして液体にもどされる。これをくりかえして発電するのである。
風力発電
発電用の風車のローター(回転子)は,大きければ大きいほど発電効率はよいのであるが,羽根の先端の速さが風速の15倍ほどのものに制限される。風力発電機では,風の強さに応じて羽根の向きをかえたり,発電機自体の向きをかえたりして,風の強弱によらず,つねに一定の回転が得られるようにしている。
太陽光発電
1年間に地球にふりそそぐ太陽エネルギーは,人類が1年間に消費するエネルギーの3万倍近くにもなる。太陽電池は,この太陽エネルギーの10〜20%程度の変換が可能であるが,火力発電やその他の発電にくらべると,今のところ多くの費用がかかっている。太陽エネルギーの変換は,太陽電池のほかに,太陽の熱を利用する太陽熱発電もある。