ムハンマドの後継者(カリフという)が支配して,西アジアからイベリア半島までひろまったイスラム教徒の国。
正統カリフ時代
(632〜661)ムハンマドの時代に,イスラム教徒は全アラビア半島を支配するようになり,632年にかれが死んだあとは,4代にわたって,選挙されたカリフがイスラム教教団国家を指導した。聖戦(ジハード)をつづけ,651年にササン朝ペルシャをほろぼし,ビザンツ帝国の勢力をシリア・エジプトから追いはらった。アラブ人は戦士となり,征服地の住民からは税金をとった。
ウマイヤ朝時代
(661〜750)第4代カリフが暗殺されたあと,ウマイヤ家のムアーウィヤが立ち,以後その子孫がカリフをついだ。征服をつづけて西北インドからイベリア半島まで進出し,イスラム法による課税制度をととのえた。アラブ戦士が支配した国家であり,アラブ帝国ともよばれるが,新たにイスラム教徒になった被征服民に不満が高まった。
アッバース朝時代
(750〜1258)ウマイヤ朝をたおしたアッバース家は,バグダッドを建設して首都とし,官僚機構と常備軍をそなえて,イスラム法によって政治を行い,当時の中国の唐とならぶ繁栄をほこった。アラブ人の特権がなくなったこの時期だけを「イスラム帝国」ということもある。9世紀に分裂が始まってカリフは名ばかりの存在になり,1258年モンゴル軍にほろぼされた。