*いとうさちお【伊藤左千夫】 (1864〜1913)明治(めいじ)時代の歌人・小説(しょうせつ)家。千葉(ちば)県に生まれる。わかくして上京,牛乳(ぎゅうにゅう)をしぼりとる仕事をしながら短歌をはじめた。正岡子規(まさおかしき)に師事(しじ)して,事実をくもりない心と目で見,表現(ひょうげん)することを学んだ。子規(しき)の没後(ぼつご),長塚節(ながつかたかし),岡麓(おかふもと)らと短歌雑誌(ざっし)『馬酔木(あしび)』,ついで『アララギ』を出した。『万葉集(まんようしゅう)』を手本として,子規(しき)のとなえた写生の説(せつ)にもとづいて作歌した。斎藤茂吉(さいとうもきち)・島木赤彦(しまぎあかひこ)などの門人を育てた。小説(しょうせつ)は『野菊(のぎく)の墓(はか)』が有名。◇「牛飼(うしかい)が歌よむ時に世の中の 新しき歌大いにおこる」