西アジア,ペルシャ湾の奥,チグリス川・ユーフラテス川流域の国。政体は共和政で,元首は大統領。首都バグダッド。東北部はイラン高原のつづき,南西部はアラビア半島のつづきで,いずれも乾燥気候。チグリス川とユーフラテス川ぞいは豊かな農耕地で,古代文明の1つメソポタミア文明がおこったところである。現在でも大麦・小麦・ナツメヤシがよくとれ,牧羊もさかん。主産業は石油産業で,硫黄・鉛・銅・石炭も産出する。1932年,イギリス委任統治領から独立。1968年以来バース党が政権を支配し,1972年に石油国有化を実現。豊富な石油収入を背景に国内開発を進めたが,イラン=イラク戦争(1980〜88)や湾岸戦争などで経済は打撃を受けた。2003年3月米英軍ミサイルの攻撃で始まったイラク戦争は4月バグダッドが陥落,フセインの独裁体制は崩壊したが,その後もイスラム世界の反発,国内の宗派・民族間の対立などによる衝突やテロが続いている。2011年には,駐留していたアメリカ軍が全面撤退した。面積:43.5万km2,人口:3167万。
国名の由来
アラビア語で「豊かな過去をもつ国」の意味。
国旗の由来
赤は勇気,白は寛容,黒はカリフ(イスラム世界の支配者)とその栄光,中央の文字は右から左に読み「アッラー(アラー)は偉大なり」という意味。