地球の大気圏外へ測定器を打ち上げたり,人間を送りこんだりして,宇宙空間のすがたを研究すること。また,人間による惑星や宇宙空間での居住の可能性を研究すること。宇宙開発には,未知の世界の研究ばかりでなく,天体観測・気象観測・測地・航海援助・通信などを目的とした実用衛星による技術開発もふくまれる。
宇宙開発の歴史
1950年代にロケットが打ち上げられ,それまで観測のできなかった高層大気の実測が始められた。1957年の10月4日には,人類史上初めての人工衛星スプートニクの打ち上げに成功し,このときから本格的な宇宙開発が始まったとされている。さらに,1969年7月21日には人類がはじめてアメリカのアポロ11号による月着陸に成功し,宇宙開発はいちじるしい飛躍をとげたが,同時に1960年代後半からは各国間の軍事力増強のための開発競争が影をひそめ,かわりに共同開発や実用性重視の宇宙開発へと形を変えはじめた。近年は惑星探査機によって,天王星や海王星にまで探査が行われているが,将来は探査の範囲がますます広がるとともに,国際宇宙ステーションのような,宇宙空間に長期滞在して研究ができる施設にも期待がよせられている。
日本の宇宙開発
日本では,1970年に人工衛星「おおすみ」の打ち上げを成功させ,宇宙開発に乗りだす第一歩をふみだした。その後,Nシリーズ,H-Ⅰロケット,H-Ⅱロケットにより,科学衛星・気象衛星・放送衛星など数々の人工衛星を打ち上げている。2001年にはH-ⅡAロケットの打ち上げに成功。世界各国と協力して建設する「国際宇宙ステーション」にも参加し,日本の実験棟「きぼう」が設置された(2008〜2009年)。これら日本の宇宙開発は,「宇宙航空研究開発機構」により総合的に進められている。