本来の意味は「権力をあたえること」。もともとは組織の現場などに権限をあたえ,学習しながら個人や組織の潜在力をひきだす企業経営の手法のことをいった。しかし,近年では,ある自覚のもと個人や組織が力(権力)をもつことで,外部に影響力を及ぼすようになることをさす言葉として使われるようになってきている。たとえばアメリカのキング牧師を中心にした公民権運動,バングラデシュの「グラミン(農民)銀行」の活動などをさし,とくに,2011(平成23)年の東日本大震災におけるボランティア団体のネットワークによる救援・復興活動が社会的に大きな影響力をもって広がったことが「エンパワーメント」の例として注目をあびた。ただし,この言葉自体には,よい・悪いの評価はなく,たとえば,かつての日本の連合赤軍,さまざまなテロ事件を起こしたアルカイダなどについても当てはまる言葉である。