(1925〜2012)昭和・平成時代の俳優。新潟県に生まれ,東京で育つ。高校を卒業後,電話局に勤務。終戦後の1948(昭和23)年,チラシを見て東京民衆芸術劇場(のちの劇団民藝)付属俳優養成所に入所。劇団民藝の創設者宇野重吉に,かん高い独特のかすれ声が俳優には向かないと指摘され演出部へ移る。50年の劇団民藝創設に参加,52年の舞台「冒した者」で代役で出演したのをきっかけに俳優に転じたが,長く裏方の不遇時代が続いた。1970年,舞台「審判」で紀伊國屋演劇賞を受賞して注目をあび,以来,劇団民藝の看板役者となる。映画出演は55年からあり地味な悪役などが中心だったが,70年代後半になると独特の味わいのある脇役として大作映画には必ずというほど出演する存在感を示し,代表作としては『不毛地帯』『あにいもうと』などがある。また,テレビドラマでも活躍し,「特捜最前線」の刑事役,「うちのホンカン」シリーズの警察官役(主演)などで長くレギュラーをつとめた。舞台「巨匠」「浅草物語」「らくだ」などの優れた演技で劇団民藝を支えつづけ,2011(平成23)年7月の「帰還」が最後の出演となった。