まゆから絹糸をとるために,人工的に室内で飼育されているカイコガの幼虫。今からおよそ5000〜1万年ほど前に,たぶん中国で野生種のクワコを飼育・改良してつくられたものと思われる。幼虫はクワの葉を食べて育ち,じょうぶなまゆをつくって,さなぎになる。カイコにはひじょうにたくさんの品種がある。◇カイコを飼育して,まゆを生産する技術(これを養蚕という)は,わが国が世界で最も進歩している。最近はえさの改良が進み,クワの葉を使わない人工的なえさもつくられている。
コーチ
遺伝の実験,ホルモンの研究などに用いられる。
カイコの成長
卵で越冬するが,この休眠卵でも,薬品処理によっていつでも幼虫をかえすことができる。1齢幼虫はふつう「けご」とよばれ,黒っぽくて毛があるが,1齢の後半にはこの毛はめだたなくなる。3齢になると,それぞれの品種に特有のはん紋がはっきりでてくる。4〜5齢でもっともよく成長するが,5齢末期になると,えさをとるのをやめ,口から糸をはいてまゆをつくりはじめる。このころのカイコを熟蚕といい,皮膚がすきとおるような状態になる。ふつう4回脱皮して熟蚕となり,まゆの中で脱皮してさなぎになる。