海の表層にある温かい海水と深海の冷たい海水の温度差を利用して発電を行うしくみ。19世紀後半から研究がはじめられ,1930年代には実験プラントで発電に成功している技術である。熱帯地域など海水面温度が高い場所で,深海(深度1000m以上)からくみあげた冷たい海水(10℃以下)との20℃以上の温度差を利用して発電する。2つの方式があり,クローズドサイクルはアンモニアなど低沸点の媒体を温かい水で気化させタービンを回して発電し,冷水でふたたび媒体を液体にもどすという循環サイクル。オープンサイクルは低圧沸騰器で温水じたいを沸騰させてタービンを回して発電し,冷水で冷却してふたたび水にもどす循環サイクルである。海水の温度差が必要なため熱帯に近い地域でしか運用できないこととエネルギー効率が低いのが難点だが,環境に負担をあたえず半永久的に運用できることから再生可能エネルギーの1分野として注目が集まっている。また,副産物として海洋深層水を利用した冷房システムや養殖漁業,オープンサイクルで生みだされる真水の利用にも期待が集まっている。現在,ハワイ,インド洋などでプラントが稼動しているほか,日本では佐賀県伊万里市で実験プラントが稼動しており,沖縄県久米島でも2013年に商用化を目ざした実験プラントが設置される予定である。⇒再生可能エネルギー