1990年代終わりころから,日本の社会が経済的・社会的・文化的に2層化,とくに経済面での格差が拡大しているのではないかという問題意識を表した言葉。高度経済成長時代には「1億総中流社会」とよばれ経済的に平等な国といわれた日本の社会が,バブル経済崩壊後,国民の間には所得や資産額などの格差が広がっているという議論がさかんになった。その背景には,不況期の企業倒産,リストラ,新卒者の就職難,そして終身雇用制・年功序列制度などの日本的雇用制度の崩壊があり,人件費削減のため正社員ではなくパート社員や派遣社員などを活用する企業が急増するなかで,人々の間に所得や雇用環境の格差が拡大しており,不公平感も生まれているという。さらに高齢者の貧困,地方と都市の経済的格差がとりあげられ,経済的格差が教育や社会的地位の格差にまで結びつけられて問題にされている状況にある。