地面に対する空気の運動をいう。ふつう,地面に水平方向の空気の運動をさし,鉛直方向の空気の運動は,上昇気流,下降気流とよんで区別する。
風の成因
一般に地面上で場所によって水平方向の気圧の差ができると,気圧の高いほうから気圧のひくいほうへ向かって空気がおし出され,空気の運動がおこり,風となる。風は気圧の差が大きいほど強くなる。気圧の差ができる原因の1つは,日光のあたり方が場所によってちがい,温度の差ができるからである。地面付近があたためられると,空気の密度が小さくなり軽くなって,気圧のひくい部分(低気圧など)ができる。反対にひやされると,空気の密度が大きくなり,重くなって気圧の高い部分(高気圧など)ができる。風がふきはじめると気圧の差のほかに,地面との摩擦,地球の自転などの影響が風に作用するため,風のふき方がかわる。地面付近では地面の摩擦の影響を受けるため,気圧の高いほうからひくいほうへまっすぐにふくのではなく,等圧線に対して斜めにふく。◇上空では地面の摩擦の影響がなくなり,風は等圧線にほぼ平行にふく。
コーチ
風は,等圧線の間隔がせまい所ほど強くふく。
風の種類
気圧の差や温度の差が生じる範囲によって,いろいろな規模の風がふく。大気大循環にともなってふく偏西風・貿易風・ジェット気流など大規模なもの,大陸と海洋の間で季節ごとに方向がかわってふく季節風など中規模のもの,海陸風や山谷風,おろしなど比較的小規模のもの,ふすま風や舞台風などごく小規模のもの,高気圧・低気圧・台風など特定の気圧配置によってふくものなどがある。
風の表し方
風のふいてくる方向を風向とよび,ふつう16方位で表す。8方位や36方位で表すこともある。空気の動く速さを風速といい,ふつうメートル毎秒(m/s)で表し,ノットやマイル毎時,キロメートル毎時を用いることもある。また,風がふいたときの海面や陸上のようすをもとにしてつくった風力階級で風の強さを表すこともある。
風の観測
風向や風速はたえず複雑に変化しているので,ふつうある時間(観測する時刻の前の10分間)の平均で表す。風速の場合は平均風速といい,これに対して瞬間的な風速を瞬間風速とよんで区別する。風は,ふつう地面近くで弱く,上空に行くにつれて強くなるので,高さ10mでの風向・風速をはかることにきめられている。
コーチ
風向は風向計,風速は風速計を用いて測定するが,気象観測に広く用いられているのは風向と風速を一緒に測定する風車型自記風向風速計である。