マグマがかたまってできた岩石。マグマは地下深部の上部マントルででき,地表に向かって上昇してくる。マグマが地表まで出てきてかたまったものを火山岩,地下深くでかたまったものを深成岩という。マグマが速くひえてできた火山岩は鉱物の小さい粒とガラス質からなり,ゆっくりひえてできた深成岩は鉱物の大きな粒からなる。火成岩をつくっている鉱物の種類・粒の大きさおよび配列のしかたはマグマの化学組成とマグマがひえるときの環境を反映している。
火成岩の分類
マグマのほとんどは二酸化ケイ素(シリカ)を45〜75%(重量パーセント)ふくむので,火成岩にふくまれる鉱物の多くは二酸化ケイ素を主成分とするケイ酸塩鉱物や酸化物である。それらの鉱物の種類はあまり多くなく各種の火成岩に共通しているが,鉱物の量比はちがっているので,それによって火成岩は分類される。岩石をつくっている鉱物を造岩鉱物といい,火成岩の造岩鉱物は石英・長石など無色あるいは白色の無色鉱物とよばれるグループと,カンラン石・輝石・角セン石・雲母・磁鉄鉱などさまざまな色をした有色鉱物のグループに分けられる。ほとんどの火成岩は有色鉱物の割合が70%以下である。有色鉱物の量が20%以下の火成岩をけい長質(ケイ素やアルミニウムを主成分とする無色鉱物が多いという意味)という。深成岩では花こう岩と花こうせん緑岩,火山岩では流紋岩とデイサイトがそれにあたる。花こう岩と流紋岩は花こうせん緑岩とデイサイトよりもアルカリ(ナトリウムとカリウム)を多くふくむことで区別される。有色鉱物の量が20〜40%,40〜70%の火成岩はそれぞれ中間質,苦鉄質(マグネシウムや鉄を主成分とする有色鉱物が多いという意味)とよぶ。中間質の深成岩はせん緑岩,火山岩は安山岩であり,苦鉄質の深成岩ははんれい岩,火山岩は玄武岩である。これらのほかに有色鉱物の量が70%以上の超苦鉄質岩がある。超苦鉄質岩のおもなものはかんらん岩で大きな粒のカンラン石と輝石からできている。超苦鉄質の火山岩はコマチアイトとキンバーライトでそれぞれカンラン石と輝石,カンラン石と黒雲母を多くふくむ。
コーチ
火山岩の流紋岩・安山岩・玄武岩などははん状組織,深成岩の花こう岩・せん緑岩・はんれい岩などは等粒状組織を示す。
火成岩ができるしくみ
上部マントルでできるマグマは玄武岩質と考えられている。玄武岩質マグマが地表に向かって上昇してくる間に温度が下がると特定の成分が鉱物として結晶する。結晶する温度は鉱物の種類によってちがっている。高い温度ではカンラン石・輝石・カルシウムの多い長石(斜長石)が結晶し,温度がひくくなると角セン石・雲母・ナトリウムの多い長石(斜長石)・カリウムの多い長石(カリ長石)・石英が結晶する。高温でできた鉱物がマグマの中をしずんでいくと,のこりのマグマは結晶ができる前とはちがった化学組成のものになる。これを結晶分化作用という。結晶分化作用が進めば玄武岩質マグマから安山岩質マグマや流紋岩質マグマに変化すると考えられている。結晶分化作用のほかに,マグマが周囲の岩石をとかしたり,別のマグマとまじり合ったりして,マグマの化学組成が変化する可能性もある。
火成岩の産状
火山岩は溶岩または火山砕せつ岩として海洋底・島弧・火山島をつくっている。海洋底と火山島には玄武岩質の火山岩,島弧には安山岩質ないしデイサイト質の火山岩が多い。深成岩は大きさも形もさまざまな貫入体として海洋底の下部や大陸地殻をつくっている。大陸地殻の上部は花こう岩質,大陸地殻の下部と海洋底の下部ははんれい岩質の岩石からできている。かんらん岩は上部マントルをつくっている。地表に出ているかんらん岩は,プレート境界での変動によって,断層帯や破砕帯にそって上部マントルから固体のままで地殻中を上昇してきたものである。超苦鉄質の火山岩であるキンバーライトとコマチアイトは南アフリカ・カナダ・オーストラリアなど大陸地域にしか見られない。コマチアイトはかんらん岩に相当する化学組成をもち,溶岩,ときにはまくら状溶岩をなす。キンバーライトは直径500m以下のパイプ状をなし,角れき岩のような見かけをしている。