(1942〜2011)リビアの最高指導者,事実上の国家元首であったが,2011年,反政府の民衆運動に端を発した内戦により政権が崩壊,反政府勢力による攻撃で10月に死亡した。リビアの砂漠のベドウィン部族の出身。伝統的な宗教教育を受け,エジプトのナセル大統領のアラブ統一の考え方に影響され陸軍士官学校に入学,イギリスに留学した後,陸軍将校になる。1969年9月,クーデターで国王イドリース1世を打倒し,無血革命を達成する。革命評議会議長に就任するが,79年にはいっさいの公職をしりぞいている。リビアはイスラム社会主義,直接民主制を国のかたちとしており,政府も国家元首も存在しないことになっているが,革命以来,事実上の国家元首として独裁体制をしいていた。アラブの最強硬派として知られる一方,異常な発言や行動でも知られている。多くのテロや紛争に関わり,その結果1986年,アメリカ軍はリビアを空爆,以降,態度を軟化させ,2003年には核放棄宣言をしている。◇2011年1月の隣国チュニジアのジャスミン革命をきっかけに,強力な独裁体制をしくカダフィ政権打倒の民衆運動が起き,軍事政権とのあいだで内戦状態におちいったが,8月に政権が崩壊,反カダフィ派の国民評議会による攻撃で10月に死亡した。⇒リビア,ジャスミン革命