(1871〜1946)明治時代に活躍した女優。日本の女優第一号といわれる。本名は川上貞。東京・日本橋の両替商に生まれるが,生家が没落して芸姑になる。22歳で川上音二郎(新派劇の創始者)と結婚。1899年に川上一座とサンフランシスコに渡り,初舞台に立つ。日本舞踊と貞奴の美貌が評判となり,一座は米国のほか,イギリス,フランス,ロシアでも空前の人気を博し,マダム貞奴とよばれた。1911年に音二郎が病死してからは,次第に舞台から遠ざかり,1917年に引退した。その後,福沢諭吉の娘婿で「電力王」とよばれた実業家・福沢桃介(ももすけ)と生活を共にし,電力事業でも桃介を支えた。