がん【雁 】 森鷗外(もりおうがい)の長編小説(ちょうへんしょうせつ)。1915(大正4)年刊(かん)。内気な孝行娘(こうこうむすめ)のお玉(たま)は,父親に楽をさせたいばかりに高利貸(こうりがし)の妾(めかけ)になる。あるとき,ヘビにおそわれたベニスズメを,通りかかった大学生の岡田(おかだ)が助けてくれたことから,2人は言葉を交わすようになり,お玉は岡田(おかだ)への思いをつのらせていく。しかし,いくつかの偶然(ぐうぜん)が重なって,2人はむすばれずに終わる。文豪鷗外(ぶんごうおうがい)の作品の中でも完成(かんせい)度の高い傑作(けっさく)。