位置とあゆみ
日本列島の南西の端にあって,九州本島と南西諸島・壱岐・対馬などの島々からなり,福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄の8県に区分される。大陸に最も近い九州は,古代から日本の西の玄関口の役割をはたしてきた。明治時代以降,北九州で重工業がさかんとなる背景にも,こうした大陸との密接な関係がある。
自然のようす
(1)地形…九州本島中央部のけわしい九州山地で,大きく南北に分けられる。北部はなだらかな筑紫山地と筑紫平野・熊本平野が広がり,有明海沿岸には広大な干拓地が造成されている。南九州一帯には火山灰のシラス台地が広がっている。また,阿蘇・雲仙・霧島・桜島などの火山が活動している。南西諸島ではサンゴ礁が発達している。
(2)気候…太平洋岸は黒潮の影響で冬も温暖であるが,大陸の影響を受ける北九州では雪がふる。また,梅雨期の集中豪雨や台風によって,しばしば被害を受ける。南西諸島は亜熱帯性の気候である。
産業のようす
(1)農業…九州北部は稲作の先進地域として知られ,今も筑紫・熊本・八代平野でさかんである。麦・イグサなどを裏作とする二毛作も普及している。南九州のシラス台地では畑作がさかんである。従来,サツマイモ・葉タバコなどを主としてきたが,笠野原では大規模な土地改良が進められ,現在は畑作のほか畜産もいとなまれるようになった。宮崎平野では早くから温暖な気候とビニルハウスなどの施設を利用した野菜の促成栽培が行われている。また熊本・佐賀・長崎県の沿岸部の山の斜面ではミカン栽培がさかんである。
(2)漁業…東シナ海・黄海は広大な大陸棚の好漁場である。また,黒潮にのぞむ枕崎はカツオ漁の基地である。
(3)工業…北九州市の関門海峡から洞海湾にいたる臨海部は北九州工業地域である。八幡製鉄所を中心に筑豊炭田とむすびついて発展し,現在も,鉄鋼や機械工業が中心であるが,炭鉱の閉山にともない生産はのびなやんでいる。その他,大牟田の化学,長崎の造船,大分の石油化学,延岡・水俣の化学などの工業が発達している。
コーチ
近年は空港や高速道路の周辺に,IC(集積回路)工場などが進出して電子部品工業がさかんとなっている。
南西諸島
パイナップル・サトウキビ栽培,観光のほかは,産業は不振である。また,沖縄島にはアメリカ軍基地があって,基地にむすびついた経済となっている。