スポーツ競技としての水泳のための,専用の水着。1960年代ごろまでの水着は,とくに競泳用,一般用の区別もなかったが,1970年代になると,より速い記録を目ざして,素材の改良と新たなデザインが試行錯誤されるようになった。ただし,その基本は,より体をおおう部分を少なくする,より体にフィットさせるということで,男性はビキニ型,女性はワンピース型が2000年ごろまでの主流だった。ところが2000年代に入り,人間の皮膚より水中での摩擦抵抗が少ない新素材・表面加工が開発されるにおよんで,競泳用水着は,より体をおおうという方向に急転回し,手首・足首までおおうフルボディ型まで登場するようになった。2008年の北京オリンピックでは,イギリスのSPEED社が開発した,新素材の生地を超音波接着した縫い目のない水着「レーザー・レーサー」を着用した選手がつぎつぎと世界新記録を出したことから,水着と記録,水着による選手の格差が大きな問題となり,国際水泳連盟は規則を見直すことになった。その結果,水着に関するルールは大幅に改正され,国際水泳連盟主催・公認の大会では,2009年からフルボディ型は禁止,2010年からは足首までおおわれるスパッツ型(および,ひざ上までおおうワンピース型)は禁止,さらに水着素材は布地にかぎることが決められた。