くろいあめ 【黒い雨 】 井伏鱒二(いぶせますじ)の長編小説(ちょうへんしょうせつ)。1965(昭和40)年〜66年作。広島(ひろしま)に投下された原子爆弾(ばくだん)の悲劇(ひげき)を被爆(ひばく)した主人公の目を通して,たんたんとえがいた作品。戦争(せんそう)が終わってしずかな日常(にちじょう)生活にもどったときから書きはじめられるが,やがて健康(けんこう)だと思っていた姪(めい)のからだに原爆症(げんばくしょう)の徴候(ちょうこう)があらわれてくる。やり場のない悲(かな)しみといかりが,作品の底(そこ)を流れている。