すべての物質には,それをつくるもとになっているものがあり,その最も基本となる成分を元素という。元素は,これ以上別の成分に分けることはできないし,またこれよりも簡単な成分から合成することもできない。なお,各元素は,それぞれの同位体がまざったものである。
元素の歴史
万物を構成する要素,すなわち元素として,ギリシャの自然哲学者タレスは水を,アナクシメネスは空気を,ヘラクレイトスは火を考えた。さらにアリストテレスは,これらをまとめて,「すべての物質は,水・空気・土・火からできている」という四元素説をとなえた(紀元前320年ごろ)。このような元素の考え方を打ちやぶったのがイギリスのボイルである(1661年)。ボイルの元素は単体と同じであった。現在用いられている元素の概念を確立したのは,フランスのラボアジエである(1789年)。かれの出版した『化学原論』の中で,新しい理論と命名法にもとづいて元素を記した。これが元素の基本となった。
クラーク数
化合物や単体の状態で,元素がどのくらい地球上に存在するかを,重量パーセントの数値で表したものがクラーク数である。その後の地球物理学の進歩によって,より正確な数が明らかになっている。
コーチ
現在,約110種類以上の元素が知られているが,そのうち天然に存在するのは約90種類で,他は人工的につくられたものである。