がん細胞にはたらきかけ,死滅させたり,増殖や機能を抑制したりする,がんの治療薬。代謝拮抗剤,アルキル化剤,各種阻害剤などの種類があるが,いずれもがん細胞の増殖やDNA合成を阻害し,死滅させようというもの。注射・点滴,経口(飲み薬)で投与される。ただし,これらの薬は正常な細胞にまで作用するため,悪心,脱毛などさまざまな副作用が生じるだけでなく,重い後遺症を残す場合もあるが,格段にがん患者の治癒率・生存率は向上している。また,近年登場した分子標的薬は,正常細胞に存在しないがん細胞の増殖や転移に関わる分子だけを標的とする抗がん剤で,副作用も小さく,大きな効果を上げて注目されている。◇肺がん治療薬ゲフィニチブ(商品名イレッサ)も分子標的薬の一種。効き目が大きく期待されているが,服用者の6%ほどに肺障害・肺炎の副作用が出る危険性がある。⇒がん