ウシ,ブタなどの家畜のかかる,きわめて感染力の強い伝染病。ウシ,ブタのほか,ヒツジ,ヤギ,シカなど偶蹄類の動物が口蹄疫ウイルスに感染して発症するもので,発熱と消耗にくわえて舌や口中,ひづめに水疱が生じるのがおもな症状。致死率は数%と低い。ただし,接触と空気感染による感染力が非常に強く,感染した家畜は肉質の低下や乳量の減少がおきるため,家畜伝染病予防法にしたがって感染獣は発見されしだい殺処分される。治療は行われない。人間にはうつることはまれで感染しても症状は軽く,感染獣の肉を食べたり乳を飲んでも問題はない。家畜の殺処分と移動禁止が決められているので,発生すると畜産業者は大打撃をこうむることになる。日本では2000(平成12)年春,約92年ぶりに北海道と宮崎県で発生,2010年4月にも宮崎県で大規模な発生が確認された。