流れる向きが周期的に変化する電流を交流とよぶが，その1秒間に変わる回数を周波数といい，単位はHz。東日本では周波数50Hz，西日本では周波数60Hzの交流の電力が供給されている。1887（明治20）年に日本最初の電気事業を開始した東京電燈（現在の東京電力）は当初直流電力を供給していた。88年，大阪電燈（現在の関西電力）がドイツ製の60Hz交流発電機を用いて交流電力の供給を開始，世界的な交流への転換をうけて東京電燈も93年，交流に転換，このとき導入したのがアメリカ製50Hz交流発電機だった。そこから東京，大阪の主導のもと，北海道・東北・東京の東日本は50Hz，中部・大阪以西の西日本では60Hzという周波数の違う交流電力の供給が固定することになった。太平洋戦争の敗戦（1945年）直後，周波数の統一が議論されたが，復興のスピードが早すぎてそのままになり現在にいたっている。50Hz／60Hzの周波数の違いは現在のほとんどの家電製品では製品側の構造で対応しており，電子機器についても直流電圧変換によってほとんど問題は生じない。しかし，供給側にとっては変電所や送電網，大工場の発動機などは異なる周波数には対応できない。2011（平成23）年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故などにともなう東日本の電力不足に，西日本から電力を融通することができないという状況で，周波数の違いの問題がうきぼりになった。なお，東日本・西日本のさかいに佐久間，新信濃，東清水の3か所の周波数変換所があり50Hz／60Hzの変換はできるのだが，3か所合計で100万kwほどの能力しかない。⇒交流，直流，周波数
