中国の北京と瀋陽,台湾の台北にある,中国歴代王朝の所蔵してきた文物,中国の歴史的遺物を所蔵・展示する博物館のこと。1924年,北洋軍閥が北京の紫禁城宮殿から宣統帝溥儀を追い,25年に宮殿内の清朝所蔵の美術品を一般公開したことにはじまる。26年には瀋陽市にあった瀋陽故宮も同様に博物館となった。1948年,国共内戦が激化するなか,国民党政府(中華民国政府)は北京の故宮博物院の所蔵品約117万点から約60万点を精選して台湾に運び,これによって台湾にも故宮博物院が誕生した。ただし,北京の故宮博物院の所蔵品は1966年からの文化大革命によって,「清明上河図」などわずかなものを例外に大部分が破壊され,名品・貴重品とよばれるもののほとんどは台湾の博物院に所蔵されている。瀋陽故宮博物院の所蔵品は清代の遺物が中心である。