国と国とがお互いに文化的・社会的な背景を理解しあうこと。通信・物流の発達により外国との貿易や交流がますますさかんになっている現代の国際社会では,国際理解は国際平和に不可欠な要素である。日本でも,国際理解の一環として,教育・文化・技術・芸術などの面で,交流がさかんである。世界の言語や衣食住を見ても,世界にはさまざまな人々がくらしていることがわかる。
世界の言語・衣装・住居
〔世界の言語と文字〕
世界の人々はそれぞれ独自の言語をもち,その数は3000とも5000ともいわれる。これらの言語は,日本人をふくむアルタイ語族のほか,インド=ヨーロッパ語族,セム語族など,15に分類される。また,日本の文字は縦にも横にも書けるが,世界の文字の多くは横書きで,ヨーロッパの文字は左から右へ,アラビア語などは右から左へと書く。なかには文字をもたない民族もある。
〔世界の衣装〕
現代では欧米風の洋服を着てすごす人々が多いが,いまも民族衣装を着てくらす地域もあり,儀式や祭りなどに用いることも多い。綿や麻・毛皮など素材もさまざまで,その土地の気候にあうように工夫され,その民族特有の文化や伝統・歴史・宗教が反映されている。
〔世界の住居〕
世界各地で発達してきた伝統的な家は,土地の自然に対応した特色のある住居が多い。家をつくる材料もその土地のものが使われ,土や石・木をはじめ,皮・草・氷なども使われている。都市化がすすむ現代では,どの地域にもコンクリートの住居がふえている。
世界の食事とマナー
世界の食事は,その地域の農業・牧畜・狩猟・漁業などによって異なり,調理方法や食事の際に使う道具・マナーも宗教や習慣によってちがいがある。
〔世界の主食〕
小麦・米・トウモロコシは,世界の3大穀物である。小麦は粉にして水と塩などをくわえ,発酵させていろいろなパンなどにしたり,発酵させずにめん状にしたパスタなどにして,世界で最もよく食べられている。米には日本人が主食とする,小粒でねばり気のあるジャポニカ種と,細長くねばり気の少ないインディカ種がある。食べられている米の9割はインディカ種。米はたいたり,いためたり,蒸したりして食べる。主食に食べるトウモロコシは粉にして水をくわえてねり,うすくのばして焼いたり,かゆのようにして食べる。このほかに,イモ類や豆類を主食とする地域もある。
〔さまざまな食べ方〕
食事をする際に使う道具や食べ方も国や地域によってちがいがある。欧米ではナイフ・フォークやスプーンが使われるが,日本や中国などではおもに箸を使う。道具を使わず,手を使って食べる地域も多い。インドなどでは手で食べる際に右手だけを使うなど,食文化にあたえる宗教の影響は大きく,宗教によって食べてはいけない食物もある。また床に直接すわって食べるなど,生活習慣のちがいによるマナーもある。