(1809〜1852)ロシアの小説家・劇作家。ウクライナに生まれた。ペテルブルク(現サンクトペテルブルク)で小官吏生活にあまんじながら創作にはげみ,詩人プーシキンの知遇を得て,1831年にウクライナの民間伝承をもとにした『ディカーニカ近郷夜話』を発表,たちまちペテルブルク文壇の人気者となった。さらに,『鼻』『外套』,戯曲『検察官』など都会生活の俗悪さや官吏社会の腐敗ぶりを痛烈に風刺する作品を発表,長編『死せる魂』では当時のロシアの現実を生き生きとえがきだした。ロシアにおける写実主義文学の創始者といわれる。◇ゴーゴリは『死せる魂』第2部を書きはじめたが,病気と精神の衰弱のため書きつづけることができず,最後にはその原稿を火の中に投じ,かれ自身も数日後に44歳の生涯をとじてしまった。