節足動物のなかで,昆虫綱に属する生物。現在,世界のいたるところに分布,繁栄しており,種類数も動物のなかで最も多く,100万種以上といわれ,全動物の4分の3以上をしめると考えられている。
昆虫のからだ
頭部,胸部,腹部の3部分に分かれている。頭部には1対の触角,1対の複眼があり,トンボやセミの頭部には,このほかに複眼の補助的な働きをする3つの単眼がある。胸部には,基本的に3対のあしと2対の羽をもつが,シラミ・ノミなど羽をもたないものもいる。また,腹部には両側に気門とよばれる穴があり,ここから空気をとり入れて呼吸を行う。脊椎動物のようにからだの内部に骨格をもたないかわり,からだの外側にじょうぶな外骨格をもっている。外骨格は,からだの内部を守ると同時に,筋肉の付着・支持点となって運動をたすける働きがある。しかし,からだの内部が成長するのに対し,外骨格そのものは,ほとんど成長しない。そのため,成長にしたがって脱皮を行う。
昆虫の育ち方
基本的には,卵からふ化した後,脱皮をくりかえして成長する。チョウやハチ・ハエなど,より進化した昆虫は成虫になる前にさなぎになる完全変態を行い,バッタやトンボなどはさなぎの時期がない不完全変態を行う。また,イシノミやトビムシなど,原始的な昆虫は変態を行わない。これを無変態という。
昆虫の分類
昆虫の祖先が初めてあらわれたのは,4億年ほど前のデボン紀ごろと考えられている。その後,3億2000万年ほど前の石灰紀に羽のあるムカシアミバネムシがあらわれ,その後爆発的に種類数をふやした。昆虫の分類にはさまざまな意見があるが,一般的には羽のない無翅亜綱がトビムシ目など4目,羽のある有翅亜綱が26目に分類されている。