さいごのいっく【最後の一句】 森鷗外(もりおうがい)の短編小説(たんぺんしょうせつ)。1915年に発表。桂屋太郎兵衛(かつらやたろべえ)の娘(むすめ)「いち」は,死罪(しざい)になる父の命を助けようと奉行所(ぶぎょうしょ)に身代わりを申し出た。身代わりになれば父に会うこともできずにころされるがよいのかとたずねられた「いち」は,それでもよい,「お上(かみ)のことには間違(まちが)いはございますまいから」と答える。16歳(さい)の娘(むすめ)の「最後(さいご)の一句(いっく)」に,役人は父への献身(けんしん)のうちにひそむ体制(たいせい)への反抗(はんこう)をさとる。