県名の由来:北部の行田市埼玉に6〜7世紀の大古墳群がある。東日本最大の古墳群で,武蔵国造の居館があったと考えられている。この歴史的な地名から県名がつけられた。
県庁所在地
県の面積
県の人口
県の代表的な伝統工芸品と祭り
〔伝統工芸〕
○江戸木目込人形 ○春日部桐箪笥
〔祭り〕
○秩父夜祭(秩父市,12月2〜3日)
位置・地形・気候
埼玉県は,関東地方の中央部に位置する内陸県である。西部には秩父山地が広がり,東部は関東平野である。秩父山地から流れ出る荒川は,秩父盆地を通り,途中に扇状地をつくって南東に流れ,東京湾に注いでいる。関東平野は,西から東に向かって武蔵野・大宮台地・利根川流域と,しだいに低くなり,東の県境近くには古利根川・元荒川などが流れている。
気候は,夏に降水量が多く,冬に乾燥した晴天がつづく太平洋側の気候だが,山間部では,気温の差が大きい内陸型の気候を示す。
歴史
埼玉県は,昔の武蔵国(現在の埼玉県と東京都と神奈川県東部とあわせた地域)の一部にあたる。古くから開けた地域で,奈良時代には朝鮮からの渡来人が養蚕などの大陸文化をつたえた。
鎌倉時代には畠山氏や熊谷氏などが大きな勢力をもち,戦国時代には北条氏が支配した。江戸時代には,川越・岩槻(現在のさいたま市)・忍(現在の行田市)などの小藩と直轄地や旗本領に分けられ,川越などの城下町がさかえた。また,利根川の治水工事,東部低地の開発が進められ,奥州街道や中山道が整備されて宿場町が発達した。明治維新後,いくつもの県がでたが,1876(明治9)年に,現在の埼玉県が成立した。
産業
平地が多く,大消費地東京に近いので,野菜を中心とする近郊農業がさかんで,農業生産額の約48%を野菜がしめる。ホウレンソウ・ネギ・カブの生産量は全国2位,ブロッコリーは全国3位である(2010年)。サトイモ・エダマメ・ナスなどの生産も多い。東部の低地では稲作,北部では畜産もさかんである。狭山丘陵一帯では茶が栽培される。
埼玉県の工業生産額は全国7位(2009年),県内各地にさまざまな工業があるが,川口市の各種機械,狭山市や上尾市の輸送用機械,深谷市の電気機器などの機械工業が大きな割合をしめる。ほかに,さいたま市に化学工業,新座市に出版・印刷業,さいたま市や戸田市に食料品工業がある。また,秩父地方では石灰岩が多く産出され,熊谷市などでセメント工業が発達している。
東京のベッドタウン埼玉
埼玉県の人口は,719万人(2011年)で,東京都,大阪府,神奈川県,愛知県についで5位である。市の数は41もあり,全国1位となっている。
1950年代後半から,日本の工業はめざましく発展し,日本は高度経済成長をとげていったが,その過程で,農村部から都市部への人口の集中が進んだ。
東京都とその周辺への人口の集中はとくにはげしく,埼玉県では,1955年に約225万人だった人口が,20年後の1975年には2倍以上の約480万人になった。農村だった地域は流入する人々の住宅地となって,都市化が進み,新しい市が次々に誕生していった。新しく埼玉県民となった人々の多くは東京に通勤する人々だったが,近年,埼玉県の工業もめざましく発展しており,それがまた人口の流入をもたらしている。
このような県の拡大にあわせて,2001(平成13)年,県庁所在地だった浦和市と隣接する大宮市・与野市が合併してさいたま市が誕生し,2003年4月,政令指定都市となる。県内にはほかにも合併の動きがあり,新しい県づくりが進んでいる。