県名の由来
1868(明治1)年に,江戸幕府将軍だった徳川氏が駿府にうつり,駿府を静岡と改名,静岡藩が成立した。1871年の廃藩置県のとき,藩名をそのまま県名とした。
県庁所在地
県の面積
県の代表的な伝統工芸品と祭り
〔伝統工芸〕
○駿河竹千筋細工
〔祭り〕
○凧揚げ祭り(浜松市,5月3〜5日)
位置・地形・気候
静岡県は日本のほぼ中央に位置する。県の北部には赤石山脈や富士山がそびえ,南部は太平洋に面している。東部には,伊豆半島が太平洋につきでている。北部の山地からは,天竜川・大井川・安倍川・富士川などが太平洋に向かって流れ出ており,下流に牧ノ原・磐田原・三方原などの台地や,河口の三角州をつくっている。
気候は,夏に降水量が多く,冬に晴天がつづく太平洋側の気候で,黒潮の影響を受けて,冬もわりあいあたたかい。
歴史
昔は遠江・駿河・伊豆の3国に分かれていた。浜名湖の北で発掘された三ヶ日人とよばれる化石人骨や,静岡市の登呂遺跡などに見るように,この地域の歴史は古い。
駿河は南北朝時代以降,今川氏が守護として統治,戦国時代には遠江も支配した。江戸時代には,その多くが徳川氏一族の領地となり,駿府(静岡市)などが城下町としてさかえた。また,江戸と京都をむすぶ東海道が通り,宿場町が発達した。伊豆は幕府直轄地であった。
明治の廃藩置県で,遠江は浜松県,駿河は静岡県,伊豆は足柄県に分かれていたが,1876(明治9)年に統合されて,現在の静岡県が成立した。
産業
静岡県の農業生産額は全国第16位(2009年)で,牧ノ原を中心とした茶の生産量は,全国の約39%をしめて1位,日あたりのよい山ろくでつくられるミカンの生産量は全国3位である。温暖な気候と東海道ぞいの地理的条件を生かした,セロリ・レタス・メロン・イチゴなどの野菜や果物,キク・バラ・ガーベラなどの花や観葉植物などの施設栽培もさかんである。水産業もさかんで,焼津港や清水港はマグロ・カツオの遠洋漁業の基地となっている。浜名湖や大井川河口付近のウナギの養殖も有名である。
工業もさかんで,東海工業地域を形成し,工業生産額は全国第2位である(2009年)。東部では富士市の製紙を中心に,自動車・製薬・化学繊維・食料品工業,中部では静岡市を中心に食品加工・プラスチック工業など,西部では浜松市を中心に楽器・オートバイ・繊維工業などがさかんである。
楽器とオートバイのまち浜松市
浜松市は,静岡県で最大の人口をもつ大都市で,東海工業地域の代表的な工業都市である。気候が温暖であることや,工業用水が豊富なこと,東京と大阪の中間にあるという立地のよさにめぐまれて,発展してきた。
浜松市周辺は,昔から繊維工業のさかんなところとして知られてきたが,今では,輸送用機械(オートバイ・軽自動車など)や楽器(ピアノ・電子ピアノ・電子オルガンなど)の生産が繊維工業を大きく上まわっている。
浜松市は日本のピアノ生産のほぼ100%をしめている。浜松市での楽器生産は,明治の中ごろ,山葉寅楠・河合喜三郎によって始められた。楽器工業が発達したのは,良質の木材が得られたことや,旧城下町で木工職人の技術が伝わっていたことなどによるが,現在では,原料木材の大半は輸入している。
浜松市はオートバイ産業発祥の地でもある。二次世界大戦後,不要となった飛行機エンジンを改造してオートバイ生産を始めたのが本田技研工業だった。「ホンダ」「ヤマハ」「スズキ」など,浜松市は日本一のオートバイ生産地であり,海外へも多く輸出している。