(1928〜 )生物学者(有機化学・海洋生物学)。京都府の生まれ。長崎医科大学付属薬学専門部(現在の長崎大学薬学部)卒業後,名古屋大学に国内留学。1956(昭和31)年,ウミホタルの発光物質ルシフェリンの結晶化に成功。1960年にアメリカのプリンストン大学に留学し,62年,オワンクラゲの発光物質イクオリンと緑色蛍光タンパク質(GFP)の抽出に成功,70年代にイクオリンとカルシウムが結合したエネルギーでGFPが緑に光ることを解明した。名古屋大学助教授を経て,1982年にアメリカのウッズホール海洋生物学研究所上席研究員となり,2001年に退職してからはマサチューセッツ州の自宅で研究を続けてきた。1990年代になりGFPのアミノ酸配列が解読され,生命科学の分野でさかんに利用されるようになり,その発見者として2008年にノーベル化学賞を受賞した。◇GFPの抽出のために下村とその家族,地元の協力者で捕まえたオワンクラゲは85万匹におよぶという。