商標とは,商品やサービスの名称,企業名,さらには商品のデザインやマーク,立体構造にまでおよぶ知的財産権の一種で,ブランドイメージや他の商品との差別化,品質保証や広告宣伝に重要な価値をもつ要素である。英語でいえばトレードマーク。日本では特許庁に出願して,審査を経て,商標登録されてはじめて,商標と認められる。先の登録が優先され,後から同じ商標の登録はできない。また,よく似た商標や,一般性が強い語句(坂本龍馬などの人物名,富士山など)の登録は,審査の段階でほぼ却下される。◇商標登録は国ごとの制度であり,その国で登録されている商標の商品・サービスは,よその国の企業は提供できないか,商標の権利を買い取るしかないことになる。近年,中国では一種のビジネスとして,「青森」など日本の地名や,「IPAD」(アップル社のiPadが発表されたときに登録されたらしい)が商標登録されるケースがあり,青森県産の農作物が販売できなかったり,iPadの名称の中国国内での使用を認めない裁判所の判断が下される事態が起きている。その国の知的財産権への意識の程度,常識度が試される問題ともいえるだろう。