電力を制御するパワー半導体の素材として注目される,炭化ケイ素のこと。炭化ケイ素は,ダイヤモンドのつぎに硬いので,19世紀末から研磨剤や耐火れんがの材料などに用いられてきた。ダイヤモンドとシリコンの中間的な電気的性質をもつことから半導体としての利用も考えられてきたが,結晶をきれいに整列させた高品質な素材をつくることがむずかしかった。1980年代後半,京都大学の松波弘之が高品質な結晶化に成功し実用化の道を開いた。大電流・高温に弱く電力損失が大きい従来のシリコン半導体にかわる,パワー半導体の素材として普及が進んでいる。炭化ケイ素