じんしんのじゆう【人身の自由】

身体を不当(ふとう）に拘束(こうそく）されない自由。身体の自由ともいう。◇大日本帝国憲法(ていこくけんぽう）では，法律(ほうりつ）によらなければ，逮捕(たいほ）・監禁(かんきん）・審問(しんもん）・処罰(しょばつ）を受けないと定めていたが，実際(じっさい）には警察(けいさつ）による拷問(ごうもん）などが行われ，人身の自由の保障(ほしょう）は不十分(ふじゅうぶん）だった。日本国憲法(けんぽう）では，第18条(じょう）・第31条(じょう）・第33条(じょう）・第34条(じょう）・第36条(じょう）などで，人身の自由の保障(ほしょう）について詳細(しょうさい）な規定(きてい）をしている。

条文

〔日本国憲法(けんぽう）〕

第18条(じょう） 何人(なんぴと）も，いかなる奴隷的拘束(どれいてきこうそく）も受けない。又(また），犯罪(はんざい）に因(よ）る処罰(しょばつ）の場合を除(のぞ）いては，その意に反する苦役(くえき）に服させられない。

第31条(じょう） 何人(なんぴと）も，法律(ほうりつ）の定める手続(てつづき）によらなければ，その生命若(も）しくは自由を奪は(うばわ）れ，又(また）はその他の刑罰(けいばつ）を科せられない。

第33条(じょう） 何人(なんぴと）も，現行犯(げんこうはん）として逮捕(たいほ）される場合を除(のぞ）いては，権限(けんげん）を有する司法官憲(しほうかんけん）が発し，且(か）つ理由となってゐ(い）る犯罪(はんざい）を明示(めいじ）する令状(れいじょう）によらなければ，逮捕(たいほ）されない。

第34条(じょう） 何人(なんぴと）も，理由を直(ただ）ちに告(つ）げられ，且(か）つ，直(ただ）ちに弁護人(べんごにん）に依頼(いらい）する権利(けんり）をあたへ(え）られなければ，抑留又(よくりゅうまた）は拘禁(こうきん）されない。（以下略(いかりゃく））

第36条(じょう） 公務員(こうむいん）による拷問及(ごうもんおよ）び残虐(ざんぎゃく）な刑罰(けいばつ）は，絶対(ぜったい）にこれを禁(きん）ずる。