岐阜県飛騨市神岡の鉱山内に東京大学宇宙線研究所が建設した神岡宇宙素粒子研究施設。スーパーカミオカンデの前身は,カミオカンデとよばれる実験施設である。カミオカンデは,1983(昭和58)年に完成し,1987(昭和62)年2月の超新星爆発で生じたニュートリノ(素粒子の一種)をとらえ,世界をおどろかせた。名前の由来は,神岡陽子崩壊実験(KAMIOKA Nucleon Decay Experiment)を略したものである。これを発展させた施設であるスーパーカミオカンデは,同じく神岡鉱山内に建設され,1995(平成7)年度に完成し,翌年4月から観測を開始した。その中心部は5万トンもの純水を入れた水槽で,その水槽は合計1万3000個以上の光電子増倍管とよばれる,ニュートリノが通過するときにだす特殊な光を検出する装置でおおわれている。スーパーカミオカンデは,カミオカンデにくらべ体積で10倍,光電子増倍管の取りつけ密度で2倍にもなる巨大な施設である。◇スーパーカミオカンデの研究者たちは,大気ニュートリノの観測からニュートリノに質量があることを発見し,1998(平成10)年6月に発表した。これは素粒子物理学における新発見で,世界でも大きく報道された。また1999(平成11)年6月には,つくば市にある高エネルギー加速器研究機構から人工的に発生させたニュートリノを打ちだし,250kmはなれたスーパーカミオカンデで観測する実験を行い成功した。