一定の意図をもって,選ばれたり,編纂された書物のシリーズをさす言葉だが,現在の出版界では一般的に,文庫や新書などのように判型や内容を統一した,教養書をさすことが多い。B6判,300ページ前後という体裁が主流で,専門家による人文科学・自然科学の入門書というよりはもう少し踏み込んだ研究書に近い内容のものをいう。昭和10年代から40年代には出版各社がさかんに選書シリーズを刊行していたが,内容がむずかしいためか敬遠され,新書にその座をゆずった。しかし,この20年ほどの新書ブームのなかで新書の内容の浅さや文章量の少なさにあきたらないという読者の声が高まり,近年,ふたたび出版各社は新しい選書の刊行や以前のラインナップの復活・充実に力を入れている。