地球に最も近い恒星。太陽系の中心にある。太陽はほぼ恒星の平均的な性質をもっているので,太陽の研究はその影響下にある地球にとって重要であるばかりでなく,恒星の性質を調べるためにもひじょうにたいせつである。
〔視半径〕
地球の
軌道がだ円であるため,
視半径(見かけの
半径を角度で表したもの)は16分17秒と15分45秒の間で
変化する。
平均は15分59.64秒で,
距離がきまれば
実際の
半径がわかる。
コーチ
太陽の
視半径と月のそれは,ほぼ同じ。
〔距離〕
地球からの
平均距離を1天文
単位という。その
値は
約1
億4960万km。1月と7月には,それぞれ
約250万kmずつ近くなったり,遠くなったりする。
〔半径〕
太陽の
実際の
半径は69万6000kmで,地球の
半径の109倍にあたる。
〔質量〕
質量はケプラーの第3
法則からもとめることができ,1.988×10
30kgで,地球の
約33万倍である。
平均密度は1.41g/cm
3で,地球の
約4分の1である。また,表面重力は地球表面の
値の
約28倍である。
〔自転〕
太陽の表面に見える黒点の
移動から,太陽は東から西へ自転していることがわかる。赤道
地帯では
周期約25日と短く,高
緯度地帯では28日をこえている。このことから太陽は気体であることがわかる。太陽の自転
軸は地球の
軌道面に対して
約7度かたむいている。
〔明るさとスペクトル〕
太陽の
実視等級は-26.75等,
絶対等級は4.82等。スペクトル
型はG2Vで,
水素をはじめヘリウム
以下地球上にあるほとんどの
元素の
吸収線が
連続スペクトルの中に見られる。この
吸収線をフラウンホーファー線とよぶ。
〔表面〕
明るく光った表面を光球という。スペクトルの
連続光を出している部分で,温度は6000℃。光球面は白い
砂をばらまいたようなはん点におおわれている。これを
粒状はんといい,太陽内部の高温ガス体の活動を
示している。黒点は光球面にあって,温度が
約4000℃以上とひくいため暗く見える。黒点の
周辺にはたいてい白くかがやいた
模様があらわれる。これを白はんという。光球の外
側には
希薄なガスである
彩層・コロナがとりまいている。また,表面から高温のガスが
炎状にふきだすことがある。これをプロミネンス(
紅炎)という。
〔放射〕
太陽は波長の短いX線から
紫外線・
可視光線・赤外線をへて電波にいたるひじょうに広い波長
範囲の
電磁波を
放射している。太陽が1秒間に
周囲の全空間に
放射しているエネルギーは3.8×10
26J(ジュール)といわれる。
コーチ
地球の大気
圏外で太陽に
垂直な1m
2の
面積が1秒間に受けるエネルギーは1.37kWである。
〔エネルギー源〕
太陽の表面から
放射されている光や
熱は,太陽の中心部でつくられるエネルギーによる。中心部は1600万℃という高温,2400
億気圧という
高圧のため,
水素などの原子は原子
核になり,原子
核どうしが
衝突して原子
核融合反応がおこって,
別の原子
核がつくられている。この
際ばく大なエネルギーが放出され,長い年月をかけて表面まで運ばれ,光や
熱にかわる。
コーチ
太陽の
寿命は
約100
億年で,あと50
億年はかがやきつづけると考えられている。
〔太陽の観測〕
太陽の黒点などを
観測する場合には,天体
望遠鏡に太陽
投影装置をつけて行う。近年は
観測技術が進歩し,X線天文
衛星などや太陽電波
干渉計などを用いた
観測が行われ,太陽はつねに活発に活動する天体であることが明らかになってきた。