野外にしつらえた能舞台や神社や寺院の境内の能楽堂で,夜,たきぎを燃やすかがり火の明かりのもとで演じられる能楽のこと。もともとは,奈良・興福寺の門前で旧暦の2月初旬に法会の一部として催された能(一時廃絶,現在は5月に開催),奈良・春日大社の若宮まつりの奉納芸として12月17・18日に御旅所で催される能の,この2つのことをさした。本来の神事能として他のいくつかの寺社でも行われてきたが,近年は寺社の年中行事や能楽じたいを観賞するための催しとして,春から秋の季節,全国40か所以上で行われるようになっている。かがり火のもと演じられる能の幽玄美を愛するファンも多い。