チベット仏教(ラマ教)において,政治的な立場もかねる,宗教的な最高指導者。ダライ・ラマとは「大海のような徳をもった高僧」の意味の称号。観音菩薩の化身といわれ,代々前代のダライ・ラマの生まれ変わりとされる子ども(転生活仏)を探し,次のダライ・ラマが選ばれる。15世紀初めの高僧ゲドゥン・トゥプを初代として,1642年,第5代のダライ・ラマがチベットを統一して法王と国王をかね,ポタラ宮を造営。その後,外国列強のさまざまな圧力を受けながら,宗教的独立と自治をたもってきたが,現在の第14代ダライ・ラマ(テンジン・ギャツォ)の1950年,中華人民共和国軍がチベットへ進駐,チベット併合。1959年3月のラサ暴動をきっかけにダライ・ラマはインドへ亡命,インド北部のダラムサラにチベット亡命政府を樹立した。