アフリカのスーダン西部ダルフール地方で2003年3月にはじまった紛争。30万人が犠牲,55万人が国外難民(国連推計)になり,「世界最悪の人道危機」とよばれた。1956年の独立以来,北部のイスラム勢力と南部の非イスラム・黒人勢力とのあいだで内戦をくりかえしてきたスーダンでは2005年1月,包括和平協定によってようやく内戦が終結,暫定政府が成立した。しかし,協定作業中の2003年3月,ダルフール地方でJEM(正義と平等運動)らの反政府勢力が武装闘争を開始,これに対して政府系の民兵組織が黒人住民に無差別虐殺などの迫害を行った。2004年7月,大量虐殺(ジェノサイト)への発展をおそれた国連安保理事会はスーダン政府に対する決議を採択,2007年8月以降はダルフール派遣国連・アフリカ連合平和維持合同部隊を展開し,紛争解決にのりだした。その結果,2010年2月,スーダン政府とJEMは停戦に合意した。スーダン