ロシア連邦の西部に位置するチェチェン共和国で断続的につづいているロシアからの独立をめぐる紛争。イスラム系が大部分をしめるチェチェン人は,19世紀以来,ロシアの支配に強く抵抗をつづけてきた。ソビエト連邦成立後は自治州,自治共和国の立場にあまんじてきたが,1991年11月,ソ連崩壊にともない隣接するイングーシ共和国とともに独立を宣言した。しかしロシア連邦はこれを認めず,94年12月,軍が攻撃を開始,内戦状態におちいった。96年8月,ロシア側が最大限の自治を認めるかたちで和平合意が成立。しかし完全独立を目ざし国内情勢は悪化,99年9月,ふたたびロシア軍は空爆を開始し紛争は再燃した。2000年以降,ロシア政府による大統領追放と親ロシア派の大統領の指名,その大統領の暗殺,穏健派の元大統領暗殺など,紛争とテロ活動は拡大する一方で現在のところ収拾のめどはたっていない。