地形の起伏,集落,土地利用,道路,鉄道など,土地のようすを総合的にかき表した地図。
〔広く利用されている地形図〕
地形図は,国土交通
省の国土地理院が発行しており,1万分の1,2万5000分の1,5万分の1の3
種類の
縮尺の
図幅がある。
(1)1万分の1地形図…
東京など大都市
周辺。
実測図。
(2)2万5000分の1地形図…全国(一部の
離島をのぞく)。
実測図。
(3)5万分の1地形図…全国。
編集図。
地形図には,土地の
起伏,
建造物や集落の
分布,交通路,土地
利用,
資源などのほかに,目に見えない
境界線や地名も記入されていて,ひじょうに多くの
情報がもりこまれている。そのため,
利用の
範囲は,地理学習・
学術研究・
産業開発・
観光・登山・ハイキングなどと,いろいろな分野にまたがっている。
〔地形図のきまり〕
地形図を生活に役だてるためには,地形図のきまりを正しく知り,その
豊富な
情報を
正確に読みとることがたいせつである。地形図のきまりには,次のようなものがある。
(1)
縮尺…
実際の
距離をちぢめた
割合。
縮尺の分母の数が大きいほど小さく
縮小してある。
(2)
方位…地図の上を北ときめて,16
方位のよび方で表す。
(3)
高低の表し方…同じ高さの地点をむすんだ等高線で表す。ふつうは主曲線と計曲線で表すが,
傾斜がゆるやかな所は
補助曲線が使われることもある。等高線の
種類とその
間隔は,5万分の1,2万5000分の1では,表のようになる。
(4)地形図記号…地名など一部のことがらをのぞくと,地表のようすはすべて記号で表している。
地形図記号〔地形の読みとり〕
等高線が
示す高さの
間隔は,
縮尺によって
異なるが,それぞれの
約束にしたがって等高線を数えれば,その土地の高さが読みとれる。また,等高線と等高線の中間,たとえば20mと40mの等高線の中間点は,
傾斜が一定と考えて,およそ30mと読めばよい。等高線の
間隔から土地の
傾斜を読むと,次のようになる。
(1)等高線の
間隔が等しければ,土地の
傾斜は一定である。
(2)等高線の
間隔がせまいほど,土地の
傾斜は急である。
(3)等高線の
間隔が広ければ,土地の
傾斜はゆるやかである。
また,等高線の読図になれてくると,等高線の走り方で
実際の地形が
想像できるようになる。
簡単な
例をあげると,
(1)等高線の円が小さくなるほど土地は高い。
最も小さい等高線の円は
山頂。
(2)
山頂にむかって,等高線がくいこんでいる部分は谷。
(3)
山頂から外
側にむかって,等高線がはりだしている部分は
尾根。
〔土地利用の読みとり〕
土地
利用のようすは,地形図記号で
示してあるから,それを読みとればよい。しかし,
実際に地形図で土地
利用を読むとなると,かなり見にくいものである。そこで,ちょっと手をくわえて,水田は緑,畑は黄,クワ畑はだいだい,
果樹園は
紫,茶畑は茶,集落は赤というように色をきめ,地形図に着色をして土地
利用図をつくると,土地
利用の
分布と広がりが見やすくなる。