ちちかえる【父帰る】 菊池寛(きくちかん)作の戯曲(ぎきょく)。1幕(まく)。1917(大正6)年発表。妻子(さいし)をすてて女と家出した男が,20年ぶりに帰ってきたが,父をむかえる家族の思いは複雑(ふくざつ)だった。なかでも,幼子(おさなご)をかかえた母の苦労(くろう)をつぶさに見てきた長男賢一郎(けんいちろう)は,どうしても父をゆるすことができなかった。肉親の情愛(じょうあい)の相克(そうこく)(あらそい)をえがいた著者(ちょしゃ)の出世作。