＊＊ちゅうかじんみんきょうわこく【中華人民共和国】

アジア州(しゅう）の東(ひがし）アジアにある，面積世界第(めんせきせかいだい）4位(い），人口第(じんこうだい）1位(い）の国(くに）。政治体制(せいじたいせい）は共和制(きょうわせい）で，中国共産党(ちゅうごくきょうさんとう）による事実上(じじつじょう）の一党独裁制(いっとうどくさいせい）のもと，社会主義(しゃかいしゅぎ）体制(たいせい）がしかれている。元首(げんしゅ）は国家主席(こっかしゅせき）。首都(しゅと）：北京(ペキン），面積(めんせき）：960．0万(まん）km²（2015年），人口(じんこう）：14億(おく）952万(まん）（2017年），言語(げんご）：中国語(ちゅうごくご）（北京語(ペキンご）を標準語(ひょうじゅんご）とする中国語(ちゅうごくご）7地域方言(ちいきほうげん）），少数民族(しょうすうみんぞく）の言語(げんご），宗教(しゅうきょう）：道教(どうきょう），仏教(ぶっきょう），キリスト教(きょう）など，民族(みんぞく）：漢民族(かんみんぞく），55の少数民族(しょうすうみんぞく）（チョワン族(ぞく），ホイ族(ぞく），マン族(ぞく）など）。

〔自然(しぜん）のようす〕

地形(ちけい）は全体的(ぜんたいてき）には西高東低(せいこうとうてい）で，黄河(ホワンホー）・長江(チャンチヤン）・チュー川(がわ）（珠江(しゅこう））などの大河(たいが）が西(にし）から東(ひがし）へ流(なが）れている。これらの川(かわ）の源流地域(げんりゅうちいき）は，高(たか）い山脈(さんみゃく）と広大(こうだい）な高原(こうげん）で，下流地域(かりゅうちいき）には平原(へいげん）が広(ひろ）がる。気候(きこう）は，東部(とうぶ）の大部分(だいぶぶん）が温帯(おんたい）の温暖湿潤気候(おんだんしつじゅんきこう）で，夏(なつ）は高温多湿(こうおんたしつ）である。北東部(ほくとうぶ）は冷帯(れいたい），西部(せいぶ）は乾燥帯(かんそうたい）に属(ぞく）する。

〔あゆみ〕

黄河流域(ホワンホーりゅういき）は，世界(せかい）で最(もっと）も早(はや）く文明(ぶんめい）がおこった地域(ちいき）の1つで，その後(ご）も多(おお）くの王朝(おうちょう）がさかえた。19世紀(せいき）ごろから，ヨーロッパ諸国(しょこく）の進出(しんしゅつ）が活発(かっぱつ）になり，国力(こくりょく）がおとろえて，植民地(しょくみんち）のような支配(しはい）を受(う）けた。1937〜45（昭和(しょうわ）12〜20）年には日中戦争(にっちゅうせんそう）がおこり，国土(こくど）が戦場(せんじょう）となった。日中戦争終戦後(にっちゅうせんそうしゅうせんご）は中国共産党(ちゅうごくきょうさんとう）と中国国民党(ちゅうごくこくみんとう）との内戦(ないせん）がおこり，中国共産党(ちゅうごくきょうさんとう）が勝利(しょうり）して1949（昭和(しょうわ）24）年に中華人民共和国(ちゅうかじんみんきょうわこく）を建国(けんこく）した。1971年には，台湾(たいわん）にかわって国連(こくれん）の代表権(だいひょうけん）を得(え）て，その後(ご），日本やアメリカ合衆国(がっしゅうこく）などと国交(こっこう）を正常化(せいじょうか）して，国際的(こくさいてき）な地位(ちい）を高(たか）めた。アジアの国際都市(こくさいとし）として名高(なだか）い香港(ホンコン）は1997（平成(へいせい）9）年にイギリスより返還(へんかん）され，以後(いご）50年間(ねんかん）については一国二制度(いっこくにせいど）が約束(やくそく）された。2001年，世界貿易機関(せかいぼうえききかん）（WTO(ダブリューティーオー））に加盟(かめい）して世界(せかい）に門戸(もんこ）を開(ひら）くとともに，世界経済(せかいけいざい）への発言力(はつげんりょく）を強(つよ）めることとなった。

〔産業(さんぎょう）のようす〕

国土(こくど）が広(ひろ）いため，農産物(のうさんぶつ）は地域(ちいき）ごとに特色(とくしょく）がある。ホワイ川(がわ）（淮河(わいが））流域(りゅういき）を境(さかい）に，南(みなみ）は稲作地域(いなさくちいき），北(きた）は畑作地域(はたさくちいき）に分(わ）かれ，西部(せいぶ）は牧畜(ぼくちく）がさかん。華中(かちゅう）と華南(かなん）では稲作(いなさく）がさかんで，華南(かなん）では米(こめ）の二期作(にきさく）が行(おこな）われる。畑作地域(はたさくちいき）の華北(かほく）では冬小麦(ふゆこむぎ），東北区(とうほくく）では春小麦(はるこむぎ）やダイズが広(ひろ）く栽培(さいばい）される。また，石炭(せきたん）・鉄鉱石(てっこうせき）・石油(せきゆ）をはじめ，各種(かくしゅ）の鉱産資源(こうさんしげん）が豊富(ほうふ）で，撫順(フーシュン）・鞍山(アンシャン）・大慶(ターチン）・包頭(パオトウ）・武漢(ウーハン）などには，これらの資源(しげん）とむすびついた重化学工業(じゅうかがくこうぎょう）が発達(はったつ）した。上海(シャンハイ）・北京(ペキン）では各種(かくしゅ）の工業(こうぎょう）がさかん。世界各地(せかいかくち）に工業製品(こうぎょうせいひん）を輸出(ゆしゅつ）しており，「世界(せかい）の工場(こうじょう）」として重要(じゅうよう）な役割(やくわり）をになっている。

〔計画経済(けいかくけいざい）から市場経済(しじょうけいざい）へ〕

中華人民共和国成立後(ちゅうかじんみんきょうわこくせいりつご）は，社会主義(しゃかいしゅぎ）にもとづく改革(かいかく）に着手(ちゃくしゅ）し，まず土地改革(とちかいかく）を完了(かんりょう）させ，次(つ）いで農業(のうぎょう）の集団化(しゅうだんか）と産業(さんぎょう）の国有化(こくゆうか）を推進(すいしん）した。そして，5か年計画(ねんけいかく）をとりいれ，人民公社(じんみんこうしゃ）を設置(せっち）して農業生産(のうぎょうせいさん）の向上(こうじょう）をはかり，あわせて重工業(じゅうこうぎょう）中心(ちゅうしん）の工業生産(こうぎょうせいさん）につとめた。しかし，1960年代(だい）の文化大革命(ぶんかだいかくめい）で，産業(さんぎょう）や経済(けいざい）に遅(おく）れが生(しょう）じたため，1970年代後半(だいこうはん）から，「4つの現代化(げんだいか）」政策(せいさく）を発表(はっぴょう）して，国(くに）づくりの方向(ほうこう）をかえた。農業(のうぎょう）では，生産意欲(せいさんいよく）を高(たか）めるために生産責任制(せいさんせきにんせい）（生産請負制(せいさんうけおいせい））を普及(ふきゅう）させた。工業(こうぎょう）では，沿岸部(えんがんぶ）の経済特区(けいざいとっく）を中心(ちゅうしん）に先進国(せんしんこく）の技術(ぎじゅつ）や資本(しほん）を積極的(せっきょくてき）に導入(どうにゅう）したり，外国企業(がいこくきぎょう）を誘致(ゆうち）したりするなど，開放政策(かいほうせいさく）を進(すす）めた。また，国営工場(こくえいこうじょう）などの民営化(みんえいか）が進(すす）められ，株式市場(かぶしきしじょう）もつくられた。2010（平成(へいせい）22）年には国内総生産(こくないそうせいさん）（GDP(ジーディーピー））が日本を抜(ぬ）き，アメリカ合衆国(がっしゅうこく）に次(つ）ぐ世界第(せかいだい）2位(い）となった。

〔人口問題(じんこうもんだい）〕

増(ふ）えすぎた人口(じんこう）を抑制(よくせい）するために，1979（昭和(しょうわ）54）年に一人(ひとり）っ子政策(こせいさく）を導入(どうにゅう）し，夫婦一組(ふうふひとくみ）に対(たい）して子(こ）どもを一人(ひとり）までに制限(せいげん）した。しかし，少子高齢化(しょうしこうれいか）が進(すす）み，働(はたら）き手(て）の減少(げんしょう）などの問題(もんだい）が発生(はっせい）したため，2015（平成(へいせい）27）年12月に廃止(はいし）された。

〔民主化運動(みんしゅかうんどう）〕

中国共産党(ちゅうごくきょうさんとう）による事実上(じじつじょう）の一党独裁制(いっとうどくさいせい）の下(もと），言論(げんろん）の自由(じゆう）をはじめ国民(こくみん）の自由(じゆう）が制限(せいげん）されている。このため，民主化(みんしゅか）を求(もと）める動(うご）きもみられる。1989（平成元(へいせいがん））年には北京(ぺキン）の天安門(てんあんもん）広場(ひろば）で学生(がくせい）を中心(ちゅうしん）とする民主化運動(みんしゅかうんどう）がおきたが，人民解放軍(じんみんかいほうぐん）によって鎮圧(ちんあつ）され多数(たすう）の死者(ししゃ）が出(で）た（天安門事件(てんあんもんじけん））。

〔日本との関係(かんけい）〕

日本は古代(こだい）から中国文化(ちゅうごくぶんか）を取(と）り入(い）れて，それを基礎(きそ）に文化(ぶんか）をきずいてきたが，1937〜45（昭和(しょうわ）12〜20）年には日中戦争(にっちゅうせんそう）がおこり，戦火(せんか）をまじえた。1972年の日中共同声明(にっちゅうきょうどうせいめい）によって国交(こっこう）を正常化(せいじょうか）し，1978年には日中平和友好条約(にっちゅうへいわゆうこうじょうやく）を結(むす）んだ。その後(ご），日中関係(にっちゅうかんけい）は緊密(きんみつ）になり，日本からの資本(しほん）や技術(ぎじゅつ）の提供(ていきょう），企業(きぎょう）の進出(しんしゅつ）なども多(おお）く，貿易(ぼうえき）も拡大(かくだい）してきた。2001年，中国(ちゅうごく）が世界貿易機関(せかいぼうえききかん）（WTO(ダブリューティーオー））に加盟(かめい）したことにより，両国(りょうこく）の貿易(ぼうえき）はさらに拡大(かくだい）し，経済交流(けいざいこうりゅう）が活発化(かっぱつか）している。

〔日本との貿易(ぼうえき）〕

中国(ちゅうごく）から日本への輸出(ゆしゅつ）：電気機器(でんききき），一般機械(いっぱんきかい），衣類(いるい）と同付属品(どうふぞくひん）など。

中国(ちゅうごく）の日本からの輸入(ゆにゅう）：電気機器(でんききき），一般機械(いっぱんきかい）など。（2015年）

〔国名(こくめい）の由来(ゆらい）〕

中華(ちゅうか）は「世界(せかい）の中心(ちゅうしん）に位置(いち）し，最(もっと）も華(はな）やかで優(すぐ）れている」ことを意味(いみ）する。

〔国旗(こっき）の由来(ゆらい）〕

赤(あか）は社会主義国(しゃかいしゅぎこく）を，大(おお）きな星(ほし）は人民政治協商会議(じんみんせいじきょうしょうかいぎ）と中国共産党(ちゅうごくきょうさんとう），4つの小(ちい）さな星(ほし）は労働者(ろうどうしゃ）・農民(のうみん）・知識階級(ちしきかいきゅう）・愛国的資本家(あいこくてきしほんか）を表(あらわ）す。