地球の衛星で,地球に最も近い天体。地球からの平均距離は38万4400km,月の半径は地球のほぼ4分の1,太陽の400分の1の1738km(赤道半径)で,地球からは太陽も月もほぼ同じくらいの大きさに見え,視半径は平均15分33秒である。質量は地球の81.3分の1で,7.35×1022kg,平均密度は3.34g/cm3(地球の約0.6倍),表面重力は地球の約6分の1である。
〔月の表面〕
月を見ると,明るい
地域と暗い
地域に分かれている。明るい
地域は,高地とよばれ,土地の
起伏がはげしく,一面がほぼ円形のクレーターとよばれるくぼ地におおわれている。クレーターはいん石の
衝突によってできたもので,
最大のものは
直径2500kmにおよぶエイトケン
盆地。月面の
高低差は,表
側では3000mほどだが,
裏側では
約2万mもある。暗い
地域は
低く平たんで,クレーターが少なく,海とよばれている。高地は白っぽい
斜長石,海は黒っぽい
玄武岩でできている。
年齢は高地のほうが古い。海は
巨大ないん石の
衝突によってできたクレーターに内部から
玄武岩の
溶岩がふきだしておおったものと考えられている。
コーチ
月の表面の温度は昼間の
約120℃から夜の-170℃まで
変化し,大気はなく,生物も
生存しない。
〔月の運動〕
地球のまわりを回る月の
恒星を
基準とした公転
周期を
恒星月といい,27.321662日である。これに対し,地球から見た月の
満ち
欠けの
周期をさく
望月といい,29.530589日である。
恒星月がさく
望月より短いのは,地球も太陽のまわりを公転しているからである。月は地球の公転と同じむきに公転しながら自転している。月の自転
周期は公転
周期に
一致している。このため地球からは月の
裏側が見えない。
実際にはわずかながら上下左右に首をふるため,全表面の59%が地球から見られる。月の公転
軌道は白道とよばれ,黄道面に対して5度8分かたむいている。
コーチ
月食は
満月のときにおこるが,
満月のたびにおこらないのは月の公転
軌道が5度8分かたむいているためである。
〔月の満ち欠け〕
月は
約29.5日ごとに
満ち
欠けをする。これは,太陽の方向をむいてかがやいている半球を,月の公転にともなっていろいろな角度から見ているためである(
双眼鏡で見ると全体が
確認できる)。地球から見て,月が太陽と同じ方向にあるときを新月,月が太陽と反対
側にきたときを
満月という。新月から左回りに月が太陽と90度はなれた
位置にきて太陽に
照らされた半球を真横から見るときを
上弦の月,この
位置と反対
側にきて半月
状に見えるときを
下弦の月という。新月をすぎて太陽に
照らされた月面が少し見えるときが三日月である。新月は見えないが,太陽とともに朝,東からのぼり夕方西の空にしずむ。三日月は夕方太陽が西にしずんだのち,しばらく西の空に見える。
上弦の月は
日没のとき真南の空に見え,真夜中に西の空にしずむ。
満月は夕方太陽が西の空にしずむと東の空にのぼり,明け方西の空にしずむ。
下弦の月は真夜中に東の空にのぼり,明け方に真南の空にくる。
コーチ
西の空にしずむとき
上弦の月は直線部分(
弦)が上,
下弦の月は直線部分が下になる。