(1821〜1881)ロシアの小説家。モスクワの医者の家に生まれ,軍人になったが,のち文学に転じた。1846年に『貧しき人々』を発表してみとめられた。1848年ごろ,社会主義を研究する青年サークルに参加,翌年の春,なかまとともにとらえられ死刑を宣告されたが,ゆるされてシベリアに流された。獄中での孤独と絶望のなかで聖書を読みふけり,しだいに革命的思想からはなれていった。1864年発表の『地下生活者の手記』では,善も悪もどちらも人間の本性だとする考えを示した。その後,『罪と罰』『白痴』『悪霊』,未完の大作『カラマーゾフの兄弟』を発表した。◇人間のたましいの中に入って,その奥底をつきつめたこれらの作品は,その後の世界文学に大きな影響をあたえた。