1971年8月15日,アメリカのニクソン大統領が突然発表した,アメリカ=ドルと金の交換停止と,それを原因とする世界経済への重大な影響のこと。ニクソン・ショックともいう。第二次世界大戦後の国際通貨体制は,IMF(国際通貨基金)を軸とした固定為替相場制度で,世界共通の尺度としての金とドルの交換比率を固定し,各国通貨はドルとの交換比率を固定すること(日本は1ドル=360円),さらにアメリカがいつでもドルを公定価格で金と交換するという約束によって支えられていた。ところがアメリカは1960年代後半,ベトナム戦争と国内完全雇用維持のため経常収支が悪化。その打開策として通貨安が必要となり,結果,その足かせとなっていた固定為替相場制度の基礎であったドル・金の交換停止を発表した。これをうけて各国財務大臣会議による各国通貨の対ドル交換レート改定が行われ固定為替相場制度の維持がはかられた(日本は1ドル=308円)が,1973年には主要のほとんどが変動相場制(変動為替相場制)に移行した。こうしてアメリカはドル切り下げには成功したが,その後の30年におよぶ貿易赤字拡大の原因をつくることになる。