(1879〜1959)明治・大正・昭和時代の小説家。東京に生まれる。東京外国語学校(今の東京外国語大学)を中退し,文学をこころざして広津柳浪に師事。ゾラの影響を受けて『地獄の花』を書き,わが国における自然主義文学の先がけとなった。1903(明治36)年よりアメリカ合衆国・フランスにわたり,1908年に帰国,このときの体験をもとに『あめりか物語』『ふらんす物語』を発表。その後美と人生の楽しみを追求する「耽美派」の中心となって活躍したあと,江戸情緒あふれる風俗小説に転じ,社会の片すみにとりのこされた人々のなかに人間の真実と美を追求した。代表作に『腕くらべ』『すみだ川』『東綺譚』がある。1952(昭和27)年に文化勲章を受章。