長良川河口から5.4km地点(三重県桑名市)の河口付近に建設された総延長661m(可動部555m)の可動堰。
1988年から建設が始まり1995年に完成した。河口堰建設の目的は,以下の通りである。
(1)大規模な川底のしゅんせつを可能にして洪水を安全に流下させる。
(2)しゅんせつによって新たに生じる塩害を防止する。
(3)都市用水(水道用水・工業用水)として最大22.5m3/sの取水を可能にする。
(4)近年頻発して起こる渇水に対し,水の安定供給を図る。
(5)地盤沈下の進んでいる濃尾平野の地下水汲み上げの肩がわりの施設になる。
◇この計画の推進にあたっては,賛否両論がはげしくたたかわされ,全国的な論争となった。反対派の主張は,ひと言でいうと,豊かな自然ののこされた長良川の生態系に,河口堰が悪い影響を及ぼすというものだった。95年4月末までに推進派と反対派の話し合いがつづけられたが,両者の主張は平行線のまま終了し,完成した河口堰は5月末に運用が開始されたが,生態系への影響は無視できない。