ヨーロッパの西部をしめる地域。近代以後,世界の中心的な地位をしめてきた国が多く,近代化を世界で最も早く達成した。大部分の国がEUに加盟。
西ヨーロッパの範囲
広い範囲の西ヨーロッパは,一般にヨーロッパの資本主義諸国の地域をさし,南・北ヨーロッパをふくめる。これは,社会主義諸国の東ヨーロッパと対比させたものである。しかし最近は,社会主義体制が崩壊して,急速に東ヨーロッパの国々と西側との関係が深まってきたので,東・西2つのヨーロッパに区分する意味がうすれつつある。
コーチ
せまい範囲の西ヨーロッパはヨーロッパの中西部の地域で,南・北ヨーロッパをのぞく。
自然のようす
北部は古い山地で,ひくいスカンディナビア半島がある。中部には広大な平原が広がり,ライン川などがゆるやかに流れている。その南には高いアルプス山脈がつらなり,南部の地中海沿岸との境となっている。地中海沿岸は山がち。大陸周辺には,グレートブリテン島など比較的大きな島々がある。西ヨーロッパは日本より高緯度に位置するが,大部分は温帯に属する。中西部は,北大西洋海流と偏西風の影響を受ける西岸海洋性気候である。南部は夏に乾燥する地中海性気候,北部は冷帯気候に属する。
あゆみ
15世紀末からスペイン・ポルトガル人による大航海時代が始まった。やがてイギリス・フランスなども世界に進出し,海外に広大な植民地を領有した。18世紀後半に産業革命が起こると,イギリスは「世界の工場」となり,西ヨーロッパ中心の世界が形成された。第一次・第二次世界大戦で西ヨーロッパは戦場となって荒廃し,また大部分の植民地が独立して世界的地位は大きく低下したが,EC(EUの前身)を結成するなどして経済の発展に努力してきた。⇒EU